《夏時間》本作が初長編となる韓国のユン・ダンビ監督が10代少女の視点から家族や友人との関係を描き、第24回釜山国際映画祭で4部門を受賞した作品。
10代の少女オクジュと弟ドンジュは、父親が事業に失敗したため、大きな庭のある祖父の家に引っ越して来る。しかし、そこに母親の姿はなかった。弟はすぐに新しい環境に馴染むが、オクジュはどこか居心地の悪さを感じる。
さらに離婚寸前の叔母までやって来て、ひとつ屋根の下で3世代が暮らすことに。それはオクジュにとって、自分と家族との在り方を初めて意識するひと夏の始まりだった。
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夏時間 Comments (3)
何気ない日常風景の中に、10代という多感な年ごろに住む家を追われ祖父と暮らす少女オクジュの心の揺らぎを繊細なタッチで見事に表現されているのが印象的であった。ラストが秀逸である。
邦題の「夏時間」さすがうまいタイトルです。
この映画、時が流れません。
つまり、ストーリー構成に重きがない!
これ、凄いですね。
社会背景、人間関係、過去も未来も・・・
作品内での全てが「場面」でしかない?!
作品内での役割として、弟ドンジュの言動の
一つ一つが、狂言回しのように場面展開していく妙。
だからこそ、それにしても、素晴らしいのが
ショットの画面構成!
こんなに無駄なく、自然に、それでいて
見事なフレームワーク!
何気ない物干の洗濯バサミが、目に焼きつく!
おじいさんが住む家での、夏時間。
あの家のロケーションがあったからこそ書けた
シナリオ?と、思いたくなるほど
うますぎる展開です。
監督ユン・ダンビの底知れない思考と技量に、うっとりしきりでした。
余談ですが、作品内の姉オクジュとおばさんが洗濯機を干しながら交わす会話がいいね!
(お互い、自分のショーツを干しながらの会話で・・オクジュのショーツは原色のスケスケ、おばさんのは、ベージュの肌着ぽいやつ)
おばさんがオクジュに
「今、付きあっている人、いるの?」
女性監督らしさが・・・随所に感じられて、それも、たまらなく良い感じです!
「はちどり」に比べられることがあるでしょうが、わたし的には
器が違いすぎます!
これこそが、新しい映画です!
思春期の少女の日常がテーマとなるとどうしても『はちどり』と比較してしまいますが、『はちどり』よりも淡々と日常を描いています。淡々と描く分、日常を丁寧に描いていて非常にリアルです。
無口なおじいちゃんの家でなんとなくきまずかったり、お調子者の弟がじつは空気を読んで気を使ってたりして、なんかわかるなーと思いながら見ました。
また、ラストの主人公の泣きがリアルで素晴らしかったです。
お葬式では泣けなくて、ご飯食べてる時にふと悲しみが込み上げてくるというのもわかり、そのシーンでは主人公と一緒に泣いてしまいました。
映画全体のリアルな感じを支えているのが、俳優たちの演技はもちろん、おじいちゃんの家の存在感だと思います。この家は実際に人が住んでる家を借りて撮影したそうで、この家が映画に説得力を与えていると思いました。ちなみに階段の途中に扉があるのは韓国ではメジャーな造りなのでしょうか?リアルな家なだけに興味深いです。