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うる星やつら 完結篇 Comments (3)
TVシリーズ積み重なっていくアニメとの思い出が溢れ出し、一気に「うる星やつら」の話全体を良作としています。
残念ながらTVシリーズを観ていないと、恐らく半分、いや3分の1も良さを感じられないと思います。
映画単体だけなら『うる星やつら ビューティフルドリーマー』がお勧めです。
高橋留美子作品に出てくる素直さの欠片もない男性キャラクターの代表例である諸星あたるにイライラした。
しかし、普通の男女関係でも拗れるとあのようにこどもっぽい意固地な対応で切れてしまうのを見ると、ラムの情の深さは昭和の女だなあっと今更に思った。
これまでの映画前4作はオリジナルだったが、本作は原作コミックが基に。
原作でも最終回エピソードを忠実に映像化。
文字通りの“完結編”。
いつもと変わらぬ友引町だが、錯乱坊とさくらは、ラムが闇に囚われると予言。
その予言通り、空飛ぶブタに乗った黒衣の宇宙人青年・ルパが現れる。
闇の宇宙からやって来たルパは、ラムは自分の許嫁だと称し…。
イケメンで一見ただ者ならぬ雰囲気漂うルパだが、訛り丸出しで何処か間抜け。
どうやらこの結婚話はラムとルパの曾爺さん同士のしょーもない約束が原因。
ラムは初耳。ウチにはもうダーリンが居るっちゃ!
が、ルパは本気で、遂にはラムを連れ去ってしまう…!
救出に向かうあたるたち。
途中、ルパの幼馴染みのカルラと手を組み、結婚式場に乗り込む。
カルラは銃をブッ放すくらいモーレツにルパに想いを寄せており、たじたじのルパ。
こちらもこちらで訳ありだが、問題は…。
今回の経緯以前にちと痴話喧嘩していたラムとあたる。
策略や誤解がこんがらがり、仲はますます悪化してしまう。
遂にはあたるは別れを切り出し、ラムもルパと結婚してやると言い出してしまい…。
全く以て強情者の二人。
不本意ながらいったん地球に戻ったあたるたち。
思わぬ事態が…!
ついつい持ち帰ってしまったルパの星のキノコが大繁殖。このままでは10日後には地球は巨大キノコだらけに…!
この危機を回避する方法は、ただ一つ。
ルパのブタたちにキノコを食べさせる事。
その条件として、あたるがラムに「好きだ!」という事。
当然、あたるは言う筈が無い。
そこで、ラムからある勝負を持ち掛けられる。
それはラムら鬼族のここ一番の勝負法、ラムとあたるが一緒に暮らすきっかけとなった鬼ごっこ…!
原作コミックを読んでいたので、話の展開もオチも把握済み。
原作も本作も最後に見たのは約10年くらい前だが、今でもこの内容はしっかりと覚えていた。
それくらいこの最終回エピソードは面白い。
これまでの映画のような監督独自の世界観が反映された作風ではなく、これが『うる星やつら』!
ドタバタ・コメディを踏まえながら、ワクワクハラハラ、ちょっぴりの切なさ、悲しさ、胸打たれる感動も…。
アニメーションのベテラン・出崎哲はさすがの職人手腕。
画のクオリティーも高く、劇中何度も何度も、ラムが非常に魅力的に描かれている。
個人的にツボな遊び心として、面堂家私設部隊出撃シーンにあのマーチ曲風の音楽が流れたり、明らかに面堂の声優・神谷明絡みのロボットアニメ風のロボットが登場したり。
色んなお楽しみや感慨深さも含め、“完結編”と締め括るに相応しい。
さて、物語の方は…、
まず、ルパとカルラだが、こちらはあっさりと和解。
ルパがカルラの想いに応えるのに照れ臭かっただけ。
カルラも長年の想いが成就して、めでたしめでたし。
が、ラムとあたるの方は…。
あたるが鬼ごっこに勝つには、ラムの角を掴む事。
が、ラムは飛べるので、走って追い掛けるだけのあたるにはハードルが高過ぎる。
地球の命運も懸かっている。
さらに、とある誤ちで、ラムたちが地球での思い出を全て消し去ってしまう記憶喪失装置まで発動させてしまう…!
たった一言、「好きだ!」と言えばいいだけなのに…。
それが言えない。
いや、言わない。
言いたくないのだ。
こんな状況で。
今言ってしまったら、切羽詰まった状況を回避する為の詭弁になりかねず、本気か不本意か分からなくなる。
いつもいつも浮気ばかりして、いつもいつもラムを怒らせてばかりで、いつもいつも電撃ビリビリでお仕置き。
あたるのラムに対する想いは…?
それはこのあたるの姿が全てを物語っている。
疲れ果て、身体中ボロボロになっても、あたるはラムを追い掛け続ける。
忘れるものか。
たった一言、言葉で伝えるのも大事。
が、あたるのこのひたむきがむしゃらな姿には、たった一言言葉以上の想いが満ち溢れている。
鬼ごっこの決着。実はあたるはずっと、ラムの角を手にしていた…!
ラムとあたるらしいハッピーエンド。
意地っ張りで、痴話喧嘩を繰り返しながら、それでいて…。
「一生かかっても言わせてみせるっちゃ!」
「いまわの際に言ってやる」
いつまでもいつまでも。
ボーイ・ミーツ・ガール。