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バルーン 奇蹟の脱出飛行 Comments (20)
彼らの計画はすでに筒抜け、国境警備隊も総動員、おまけに見つけてくれと言わんばかりの夜空に輝く熱気球と、この状況下で主人公たちはよくも脱出できたものだ。実話でなければ御都合主義ともとらわれかねない内容。やはり何よりも運が彼らに見方したとしか思えない。
実話ベースで結果がわかっている作品は過程をいかに見せるかが制作サイドの腕の見せ所。その点、本作は映画の最初から最後まで緊張感が一切途切れることなく、飽きさせない展開でお見事と言うしかない。
当時の監視社会の東ドイツにおいて彼らの脱出計画がいつばれるか、回りの人間が全て監視者に見えてくるあたりなど否応なく緊迫感が持続する。
一家を執拗に追い詰める国境警備隊指揮官も悪役としては見事なキャラクターに描かれており、失敗した部下に対しても容赦がないその冷徹ぶりからさらに主人公たちの置かれた状況に緊迫感を与えている。
実話ベースの娯楽作品としてはかなりの良作だがラストが少々拍子ねけの感は否めない。強いて言うなら主人公たちが自ら東の警備隊かもしれない車両の前に出てきてここは西か東かを問うのは間抜けな感じなので、むしろ東の国境警備隊に見つかった、万事休すかと思わせておいて実は西側の警備隊だった、めでたしめでたしくらいの娯楽作品お約束的なシーンにしてほしかった。
ちなみに気球の生地はもっと暗めの生地をチョイス出来なかったのかな?
強権が国民を抑圧する東ドイツ。ゲシュタポがシュタージに代わっただけで、監視社会はそのままだ。ジョージ・オーウェルの「1984年」の世界である。おまけに全体主義的なパラダイムが支配的で、人々の中には国のためという大義名分で怪しい人間を通報する者も少なからずいる。密告を誇らしい行為だと思いこんでいるフシもある。
反体制的な言葉は身の危険を招くから、本音は心の奥深くにしまっておくしかない。信頼できるのは家族と、ごく少数の知り合いだけだ。息が詰まるような暮らしの中で、ごく当たり前のまっとうな精神性を持った家族たちが主人公だから、自然に感情移入する。
序盤で家族の置かれた息苦しい環境を紹介し、賭けに出た夫婦の失敗からさらに追い詰められていく場面を見せられ、不安に胸を締め付けられながらの鑑賞となる。一方で監視する側、取り締まる側にも焦点を当て、同じように窮屈な思いをしながら取り締まりをしていることも解る。当時の東ドイツは庶民も役人も抑圧されていたのだ。少数の非人間的な指導者のおかげで、誰もが声を上げられないでいた。
互いに不幸な人々が取り締まる側と取り締まられる側に分かれて、緊迫のチェイスを繰り広げる。家族は逃げ切れるのか。そんな中で家族のドラマあり、小さな恋の物語ありという盛り沢山の内容が無理なく詰め込まれていて、とても濃厚な作品になっている。事実に基づく物語であるところも含めて、リアリティはこの上ない。
映像と音響が非常に優れているので、映画館で観ないと損をする作品である。まだ観ていない人は、上映期間が終わらないうちに観たほうがいい。この大変な傑作映画の上映館が少ないのは、映画ファンにとって不運だと思う。
ハラハラドキドキの展開。
まず、1回目の飛行。だよね、墜落しちゃうよね(泣)
九死に一生を得る。墜落してもなお、大けが無し。
きっと、悪運が強いのだろう。
そして、母。薬を森の中へ忘れる。
マジかー(ó﹏ò。)
幼稚園の先生、敵かと思われたが、違った。
通りすがりの人でさえ、みんな怪しく思えてしまう。
気球を飛ばすのに、2年も費やしたのにも関わらず、2回目は6週間で作り上げた。
人は、ここぞという時には、己でも驚く程のパワーが出るもの。
2回目の飛行も、前途多難かと思われた。
また、墜落しちゃうんだけど。
諦めなければ、必ず奇蹟はおきる。
良い作品で出会えて幸せです。