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橋のない川(1992) Comments (3)
島崎藤村の「破戒」も劇中の会話に登場するが、この主人公の丑松のような戒めをどう捉えているか、登場人物の中でも様々であることがわかる。やがて素性を隠さないで堂々と取り組むことによって「水平社」誕生へと繋がるのだ。
映画全体として、原作を忠実に再現しようと努力はしているのだが、子供時代のストーリーが冗長部分が多くすっきりまとまっていなかったのが残念。学校の先生の考え方も伝わらず、ある程度の脚色が欲しいところだ。1969年の今井正監督作品も見たくなりました。
この、原作を映画化するスタッフたちの気骨を感じた作品。
<非差別部落、小森に住む畑中家の人々他>
・畑中ふで(大谷直子)
・畑中ぬい(中村玉緒)
・畑中誠太郎(杉本哲太)
・畑中孝二(渡部篤郎:今作が映画本格デビューである)
・峰村七重(高岡早紀)・・孝二の従姉妹で想いを寄せている。
・伊勢谷宗則(高橋悦史)・・ふでを想うが二人の境遇が阻んでいた。
・村上秀昭(辰巳琢郎)・・小森の寺の息子。後、水平社の設立に奔走する
「橋のない川」の内容は人口に膾炙していると思われるので、当時一番印象に残った部分のみ記す。
彼らは、旧弊に捕らわれず、人間として誇りを持って生きていた。川の向こうの人々の偏見にも負けずに・・。
小学校の同窓会で孝二は人間に貴賤はないと胸を張って訴える。
機運は徐々に変わろうとしていた。
1922年 全国水平社創立。水平社宣言採択。
孝二は小学校に差別待遇、差別的言動を廃止するよう求め、乱闘に・・。七重の婚約者も含め、逮捕される。
けれど七重は婚約者がその場に居なくても結婚式を挙げると言う。”うち、水平社宣言と結婚する・・”
七重が花嫁姿で凛とした表情で臨む式の屏風は、金ではなく、水平社宣言を記した物であった。
<この七重の結婚式のシーンは高岡早紀さんの美しい花嫁姿と共に、忘れ難い。この後、流れの激しい人の心の川に大きな橋を架ける闘いが始まるのだ>
<1992年5月30日 劇場にて鑑賞>