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リリィ、はちみつ色の秘密 Comments (16)
アイアムサム以来の、ダコタちゃんの映画。
久しぶりに観ましたが。。。
かわいい。。。。かわいすぎる!!
この、気の強い役がぴったり!
そして、映画の感想はというと。
女性向け。
人種差別や家族の悩みなど、色々抱えてる人たちが
自分らしく楽しく生きようと、まっすぐに時に不器用に生きるさまは心をうたれました。
もう、【はちみつ】っていうキーワードがかわいいです。
あまくて、くせがあるけど、優しい。。。
試写会の特典として、はちみつのチョコレートを頂きましたがほろにがく甘くやわらかく
映画のあとに食べてとても、ほっこりしました。
わずか4歳の時に、誤って拳銃を暴発させてしまい、別居から出戻ってきた母を死に追いやってしまう冒頭のシーンが衝撃的。それからというもの、主人公のリリィは自らの罪悪感を、母への恨みにすり替えて生きていたのです。自分置き去りにして家を出て行った母が許せないと。
本作は、リリィが母に捨てられた本当の理由を求めて、縁のある町ティブロンを訪ねることから始まります。そこで出会うボートライト三姉妹と姉妹が営む養蜂に触れることで自分自身の罪を許していく過程が描かれていきます。
リリィと母親の過去が明らかになるメインの展開の背景には、人種差別問題が色濃く描かれています。物語の時代はちょうど1964年。その年は黒人の公民権運動が実び、黒人の参政権が認められたという中で進行していきます。
リリィは盛んに公民権が認められたのにと、実社会での激しい黒人差別の実態に疑問を投げかけます。しかし選挙権ができても、南部では選挙者登録に行くと拉致され殺されることもあったと本作でもセリフで出てくるように、黒人差別はまだ一般的でした。
本作でも、リリィのボーイフレンドとなるフランクが、白人のリリィと映画館でデートしていたと言うだけで暴行を受けたあげく、拉致されてしまいました。
そうした時代にありながら、ボートライト三姉妹は突然飛び込んできたリリィを受け入れたのです、リリィもまたボートライト三姉妹を母親のように慕うことを通じて、人の愛情には肌の色の違いがないことを訴えかける作品になっていました。
リリィとボートライト三姉妹の触れあう様は感動的。そしてさらにボートライト三姉妹とリリィの母親が縁があったことが分かって、リリィは本当のことを知る感動のラストへと展開していきます。
自分自身に重い十字架を背負ったリリィを演じるダコタ・ファニングが主人公の微妙な心理を好演しています。特に凄いのは、聖母像に向き合うとき、母親を殺した時のことをフラッシュバックして気絶するシーン。悲しみと罪の怖さと可憐さに溢れていました。
リリィは自分を責める余りに、自分の行く先々で周りに不幸を呼び込んでしまうと信じ込んでしまっていました。実際にそれを証明する事件も起こったのでなおさらです。
結構リリィのように自分をいじめて苦しんでいる人はいるのではないでしょうか。そういう人にとって、本作のリリィの気持ちは、きっと痛いほど分かることでしょう。
でも大切なことはもむどんな過去があったとしても、それにひきづられることなく、ベストな生き方を目指すことではないでしょうか。
だからこそ、リリィに「真実は何かと言うより、どう行動するかが大切なんだ。」と励ますオーガストの優しさが引き立ちます。
もう一つは、凶暴に見えた父親が見せる本当の姿です。
リリィには、いつも母を突き放して乱暴していたように見えた父でした。けれどもラストになって、父がいかに母を愛していて、家出した母を真剣に捜していたかをリリィは知るのです。
リリィは「ハパの辛さは知らなかった。」と伝えます。この言葉は、父の初めて理解し許しを与えたものだったのでしょう。
このように人種も越えて、近親憎悪も越えて、愛においてわかり得ないことなどないのだよと優しく諭してくれるような作品でした。
ところで、リリィが自分を許すのに聖母への信仰が力となりました。
この聖母は、牧師も努めているボートライト姉妹が本尊としているだけに、黒人で拳を虚空に突き上げているものでした。
祈りのなかでリリィはこう気付きます。「聖母は、不意に現れて私を天国に連れて行ってくれる訳じゃない。聖母は私の心の中にいる。」と。
偶像という他者のなかに神を求めるだけでは、人は強くなれません。仏教が説くように、自分の心そのものに神が宿っているのだと確信するとき、どんな逆境にも強くなれるし、全てを許せる心境に至るものだと思います。
本作は、リリィのこころの変化を通じて、信じることが自分を許すことに繋がるプロセスを描いた作品でもありました。
★カットされた『心の中の聖母』シーン(DVD特典映像に収録)
本来ここが脚本家が一番中核とした重要シーンだったのです。重複する内容のシーンとの調整で、惜しくもカットされました。
以下ダイジェストでお伝えします。ぜひDVDではご覧になってください。
・・・・・・・・・・
オーガストと養蜂場に出かけたリリィは、『無性にママに腹が立った』と今の素直な気持ちを打ち明けます。そして、オーガストたちが信仰するマリアこそがも本当のママであり、力を与えてくれる存在だというのです。
オーガストはリリィに、「マリア様に魔法のような不思議な力はないの。マリア様は応接間でなくこころにいるのよ。」と語ります。
そして、「自分が信じられなくて、不安になることがあったら、彼女の声を聞くの。」と奨めるのです。
『あなたの永遠の住みかが、
ここにあります。
怖がらないで!
大丈夫、私たちは満たされています。』・・・と。
「マリア様は、ずっとあなたのこころの中にいる、心の中の母親としてね。」
オーガストの言葉をしっかりこころに抱きしめ、瞑目するリリィ。風がそよぐの中で、佇むリリィの姿がとても印象的でした。真剣に信仰する姿は、感動を呼ぶものではないでしょうか。
しかし父が最低過ぎる、いくら誤って母親を射殺してしまったからと言って娘への接し方が虐待に近い。
メイが自殺したあたりからもう涙が止まらなかったな、黒人差別が昔は本当に酷かったと痛感。
ミツバチが引き寄せたとしか思えない偶然。
Boatwright三姉妹は、Lilyにとって正に(黒人の)聖母達です。
人種差別により迫害される黒人。
法律を無視して差別を続ける白人。
そんな白人の子供を育てて生計を立てる黒人の乳母。
母親への罪悪感と同時にその愛情への疑念を拭えない娘。
娘を素直に愛せず、時に残酷なやさぐれた父親。
純粋過ぎて悲しみを堪えられない女性。
結婚するかしないかで揉める男女。
人種を超えた友情や恋愛。
色々な「愛」の形を描いています。どれも完璧でないけれど、それで良いのだと…。
空っぽの穴はミツバチが蜂蜜で満たしてくれるのと同じように、マリア様も空いた心を愛で埋めてくれるのよと。くじけそうになったら、私の心に触れなさいと…。"It's alright. I'm here. I'll be taking care of you now."
"Mary is always there. I feel her in unexpected moments. She will suddenly rise, and when she does, she does not go up in the sky... but further inside of me."
Rosaleenが小屋を出た後は、屋敷に黒人が暮らし、白人が蜂蜜小屋に住むという構図に。南部の農園としては若干皮肉的です。
Mayが自分に石を乗せて水死する姿。
抱えきれない不幸や悲しみの重みが、石そのもののようでした。
劇中でLilyが養蜂を学び携わる時期が、姉妹の名前のようにちょうど春から夏にかけての作業みたいですね。
白人の少女と、黒人の女性の逃避行。
二人が見つけた、はちみつ色の居場所。
静かにジワジワと沁みてくるタイプの映画。
ダコタ・ファニング大人になったなぁ。
そして、さすがの演技力。
これが初演技だったら、この子役の行く末が心配になってたところだよ。
ジェニファー・ハドソンはやっぱり太ってるのが魅力的。
そしてなにより、クイーン・ラティファの包容力ってなんなんだろう。
どの映画を見ても、彼女が出てくるとホッとしてしまう。
疲れたとき、泣きたいときにハグして欲しい人ナンバー1かも。